投稿日:2012-10-11投稿者:
10月11日
こんばんは。
スポーツドクター辻秀一です。
苦しくないと勝てない、苦しくないといけない、
苦しければいいことがあるさ。
というようなことを当たり前のように聞きますが、
実は、、、世界中に日本しかないと思います。
わたしは楽しい気分でやろうということを推奨していますが
日本人は「楽しい」が外にあると思っているから、
勝ったら楽しい勝たない限りは楽しくないとなります。
つまり、日々の練習はつらいことの繰り返しで、苦しんだ分だけ
その先に楽しみが待っているということを知らず知らずのうちに
思っている人が多いようです。
当然、勝利の喜びというのはありますが、その一瞬だけで刹那的です。
毎日練習したから勝つので、日々の練習も楽しんでやるべきです。
スポーツでは、コーチの年代が巨人の星を
見て育っているせいか、その影響が強いかもしれませんね。
この呪縛がある限り、なかなかうまくいかないと思います。
スポーツだけでなく企業でも、そういうところが多分にあるでしょう。
楽しいと楽(ラク)が同じ字だというのが、問題だと思います。
どうしても楽(ラク)して手を抜いている感じがありますからね。
手を抜いて適当にやるということを推奨しているわけではありません。
この字が誤解を招いている感じがありますね。
さらに、楽しいということそのものに、
悪い意味をつけている人が多いのにも気づきます。
楽しいということは、どちらかというと満足してしまっているという
悪い印象を持っている方もいるようです。
楽しい=満足して終わり的な。
だから、楽しいといったら
「先生、成長しないんじゃないですか?」という質問がすごく多い。
今の状態を楽しいといってしまっては、満足してしまい努力をしなくなって
しまうのではないでしょうかと。
この裏側にあるのは、「あしたのジョー」なんです。
ハングリー精神でいつも奈落の底に突き落とされて
満たされない感じこそが、エネルギーの源となっているのです。
それが人を成長させると思っているようですが、
満たされないものの中でのハングリー精神のエネルギーは、
一見大きいですが、継続性がありません。
金メダルを取ってしまったら、そこでエネルギーを消滅してしまい、
その後、適当に生きてしまう人がたくさんいます。
エネルギーを消滅しきってしまうと、極端なことを言えば、
力石徹も死んでしまうわけですよ。
矢吹丈も抜け殻になってしまいます。
巨人の星の星飛雄馬も、みんな抜け殻になってしまうのです。
手に入れてしまったあとのエネルギーの作り方が、
もうなくなってしまうのです。
「楽しい」は別に笑っていることだけが、「楽しい」ということではありません。
楽しい気分を感じればいいのであって、笑っていなくても
楽しい気分は充分に感じることができるのです。
つまり、ものすごく集中していることが楽しいとか、
一生懸命が楽しいとか、ものすごくチャレンジしているから楽しいとか。
ものすごく集中してチャレンジしている時に、笑っている人は少ないはずです。
つまり、英語でいう「play」という発想こそがこの状態で
この動詞そのものに「楽しい」が入っているのです。
日本語にはそれがありません。
Playは、遊びの要素もたしかにありますが、
楽しんで何かをするという意味合いが含まれた動詞ですから、
“Play baseball”、“Play basketball”、“Play the violin”といいますね。
決して遊ぶという意味ではなく、すること自体を楽しむという意味になります。
これこそがわたしが言いたいことなのです。
実は、楽しくてフローになっていると、人間固有の遺伝子として
成長したい、進化したい、というようにできています。
絶対そこでとどまることがないのです。
よりいい自分になりたいと、どんな人も当然思っているはずですから
超楽しい、もっと超楽しいを欲しいというふうに、
人間はなるようにできています。
やっぱり「楽しい」が認知で外側の要因だけで作られて
しまっていると、この体感がきっと少ないんでしょうね。
ありがとうございます。